クオリティ高いビジュアルで魅せる、宝石の小宇宙
山梨宝石博物館webサイトの概要
山梨県・河口湖のほとりに佇む「山梨宝石博物館」は、原石からジュエリー製品まで幅広く展示し、宝石の正しい知識を普及するという理念を持つコレクション博物館です。
その公式ウェブサイトは、山梨宝石博物館の施設紹介や展示物の案内を中心に、来館に必要な情報などを丁寧に提供しています。
全体的にシンプルな設計でありながらも、落ち着いた館内の整然とした中に煌めき光る宝石の美しさ、迫るように撮影された原石の迫力など、ビジュアルにより閲覧者の視線を引きつける魅力に満ちています。
ターゲット
想定されるターゲット層は、観光で河口湖エリアを訪れるファミリー層やカップル、また宝石や鉱物に関心を持つ層でしょう。世界遺産・富士山も近いため観光や、宝石目当ての外国人の訪問が期待できる土地柄でもあります。
また、教育目的の学校団体や、山梨の地場産業としての宝石加工に興味を持つ方も視野に入れている印象を受けます。
1 トップページの印象
山梨宝石博物館サイトのトップページを開くと、まず目に飛び込んでくるのは、ショーケースに飾られたジュエリーや水晶などの結晶原石を映した動画ビジュアルです。照明を落とした重厚感ある展示室で、スポットライトを浴びる品々はキラキラと輝いて誇らしげで、神々しい感じさえしてきます。
特に、アメシストの結晶にズームで寄り画面全体を埋める画は迫力があり、水晶の産地として有名な山梨県を象徴するかのようです。
キャッチコピー
ビジュアルに添えられるキャッチは「ようこそ 宝石の 小宇宙へ」。映像とそのキャッチを見るだけでこの施設の世界観が伝わってきます。
ロゴマーク
常にメインビジュアル中央に表示されるロゴマークは、結晶構造を表すのか、それとも宝石のカットの精密さを表しているのでしょうか。自然の摂理によるものかそれとも人間の巧みな技術か、生み出されるプロセスは違いますが、どちらを表現しているにしてもきっちりと整った「造形美」を感じます。
閲覧環境に合わせたビジュアル変更
このメインビジュアルは、モバイルではスライド表示に変更され、美しくカットされた宝石や結晶の画像へと、スムーズにズーム&フェードで切り替わります。
リズムある構成と多方向からの発信
Scroll表示に促されて下に移動すると、白い背景に画像とテキストが左右交互に並び、余白を多く取った落ち着きの中にリズムを産んでいます。
トップページの情報量は絞られていますが、利用案内など必要な情報をコンパクトにまとめ、また詳しい情報ページへの導線をしっかりと設けています。
下部にスクエア配置で並ぶクオリティ高い画像は公式Instagramへのリンクとなっており、他媒体からの発信にも積極的な面が伺えます。
2 サイト全体の特徴
山梨宝石博物館ウェブサイトの大きな特徴としては、展示の内容にこだわりが感じられる点です。単に「綺麗だから」と言うだけではなく、蒐集家のコレクション理念のようなものが感じられます。鉱物で言えばその希少性や特異な大きさであったり、宝石で言えばカッティングの巧みさであったり。
また観せるだけでなく、「学ぶ」と言う観点から宝石が生まれる過程の紹介などの展示もあるようです。
加えて、ミュージアムショップでは地元で加工されたジュエリー製品を販売するなど、宝石加工でも名高い山梨県の地域性がここにも現れています。
このように鉱物・宝石への造詣とともに、地元への愛情に溢れたサイトです。文章も優しいトーンで綴られており、親しみを感じさせてくれます。
サイトの写真は大変素晴らしく、圧倒的な「美」を感じるもので、ビジュアル中心の構成も納得です。
素晴らしい完成度のサイトですが、私としては、「学ぶ」に関してもう少しサイト上で詳しく展開しても良いのではと感じました。創立者の理念にも「宝石の正しい知識をさらに普及」とあるので、訪問時に正しく鑑賞できるよう、事前学習も兼ねた情報提供の場があれば、サイトの深みもより増すのではないでしょうか。(参照)
3 ユーザーインターフェース
山梨宝石博物館ウェブサイトは、レスポンシブ対応が適切に行われており、PCでもスマートフォンでも読みやすいです。前述したように、環境によってメインビジュアルの差し替えも行われている丁寧さがあります。
ナビゲーションメニューは画面「左側」に固定され、スクロール中にもすぐ他の項目に移動できる配慮があります。ただし、三本線の幅は細く、またページによっては背景色に溶け込み見えにくくなることがあります。少し不便に感じる面もありますが、その存在感の低さは一方で、サイトやビジュアルの雰囲気を邪魔しない工夫とも言え悩ましいところです。
「今や山梨県は宝石の集散地として世界的に有名になりました。」とサイトで紹介するように、この博物館も世界中からの訪問者が期待できます。英語ページがきちんと用意されているので、きっと訪日観光客や在日外国人にも、目に映るビジュアルの美しさの持つ背景が伝わることでしょう。
トップページに大きくリンクエリアを設けているように、外部連携ツールはInstagramが中心のようです。心に響くような美しい画像が特徴のサイトですから、Instagramとの相性は非常に良いでしょう。
まとめ
山梨宝石博物館のウェブサイトは、目を惹きつける宝石や結晶など展示品のクオリティ高いビジュアルを軸に、落ち着いた余白あるデザインと的確な説明で、施設の重厚な雰囲気やこだわりの展示品、そしてコレクションの理念をしっかりと伝えています。
ナビゲーションはやや視認性に劣る点が気になりますが、シンプルでビジュアルの邪魔をしないスマートさは評価できます。
私としては、「山梨と水晶」「宝石の集散地としての山梨県」「ジュエリー産地としての山梨県」「宝石の価値を高めるカット」などについて、もう少し切り込んだ説明が欲しかったところです。確かに目に訴えるビジュアルの力は大きいですが、情報が加わることで深みも増し、来訪者の期待もより高まるのではないでしょうか。
宝石や原石結晶の美しさを全体から表現し、宝石王国・山梨への愛情を持って魅力発信するこのサイトが、さらに輝く存在となることを心から期待しています。