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033 箱根ラリック美術館

アール・ヌーヴォーとアール・デコ、その時代へと遡る美術館体験を表現


箱根ラリック美術館webサイトの概要

箱根ラリック美術館の公式ウェブサイトは、「ルネ・ラリック」作品を集めた、アール・ヌーヴォーとアール・デコの作品に溢れた美術館の世界観を、洗練されたデザインと落ち着いた空気感で丁寧に伝えています。ガラス工芸家ルネ・ラリックの作品が見てきた長い時間とも向き合うような、深く重厚な雰囲気を持つサイトです。

︎⚪︎ルネ・ラリック(René Lalique)

19世紀末から20世紀初頭に活躍したフランスのガラス工芸家・ジュエリーデザイナーです。アール・ヌーヴォーとアール・デコを代表する存在で、自然や女性をモチーフにした繊細で革新的な作品で知られています。

︎⚪︎このサイトのターゲット

  • 箱根への観光客
  • ルネ・ラリック作品を中心に、美術や工芸に関心のある大人層、特に30代以上の女性や、文化的体験を大切にする層。
  • 作品の鑑賞だけでなく、美術館で得られる“特別な時間”を求める層。

 


トップページの印象

箱根ラリック美術館ウェブサイトトップページのファーストビューは、美術館で得られる時間が想像できるような画像がスライド表示されます。静けさと時代感と深みのあるビジュアルからは、日々の慌ただしさから切り離された別空間へ誘われるような感じがします。上品な画像とゆったりとした切り替え演出で、この美術館の空気感に包まれ、心が落ち着いてくるようです。

続くコンテンツの背景は淡いベージュでシンプルに抑えられ、明るさの中にも落ち着きがあります。文字色もトーンが抑えられたセピア色で、視認性は劣りますがこの美術館の雰囲気に大変合っています。

コンテンツの詰め込み感はなく、控えめなアニメーション効果や余白の取り方も上品で、全体的な落ち着きのある印象を保っています。その中でビジュアルと文字を交互に配置することでリズム感が生まれており、単調にならない工夫があります。

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サイトの特徴

箱根ラリック美術館ウェブサイトは、過剰に宣伝的なアピールをすることなく、「美術館そのものを静かに伝える」スタンスを重視しているようです。ルネ・ラリックの世界観を美術館全体が表現し、その作品が与える気品自体が十分なアピールであり、さらにオリエント急行+ルネラリックの作品という体験コンテンツも加わって、語ることなく訪問を促す魅力を感じさせる構成力があります。

ここを訪れれば、日常と離れた世界に包まれるという期待感が自然と生じる、「古き良き時代」感を全面に出したサイトデザインだと感じました。

︎オリエント急行

箱根ラリック美術館ならではの特筆すべき展示のひとつが、ラリックが内装を手がけた「オリエント急行」車両の展示です。公式サイト内の専用ページでは、この貴重な車両の来歴や特徴が丁寧に紹介されており、美術館の常設展示とはまた異なる“体験型の文化資産”としての位置づけが伝わってきます。

画像には、豪奢な装飾が施されたサロン車の内部や、精緻なガラスパネルの意匠が映し出されており、まるで100年前の旅の空気を吸い込むかのような錯覚を覚えます。中でも、ラリック特有の女性像が浮かび上がるガラス装飾は、工芸と空間演出が融合した「移動する芸術空間」としての存在感を静かに物語っています。

また、実際に内でティータイムを楽しむことができるのもユニークです。展示という枠を超えた体験コンテンツであることが強調されており、他では決して味わうことのできない、この美術館全体の“訪問価値”を高める要素として印象的です

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ユーザーインターフェース

箱根ラリック美術館ウェブサイトのユーザーインターフェースは全体的にシンプルで、グローバルナビゲーションは画面上部に常設されており、どのページにいても主要情報へのアクセスが保たれています。メニュー項目は名称が分かりやすく、訪問者の目的別に整理されており、全体にアクセスがいい構造となっています。

また、ページ遷移後の読み込みもスムーズで、ストレスのない操作感が保たれている点も評価できます。

スマートフォンにも対応したレスポンシブ設計で、どの環境でも世界観を崩すことなく表現されています。

英語表示に対応しており、海外からの訪問者も利用しやすい配慮がなされています。作品の性質上、海外からのファンが訪れることを想定すると、親切な対応と思われます。

Facebook、Instagram等の大変控えめなアイコン表示が見られますが、SNS等の連携に積極性はあまり感じられません。

また、事前チケットの販売もあるようですが、Q&Aに言及があるのみで、こちらも積極的なアナウンスがありませんでした。

 


まとめ

箱根ラリック美術館のwebサイトは、アール・ヌーヴォーの美意識に隅々まで包まれた、静謐で完成度の高い重厚な空気感で統一されてデザインされています。

情報が整理されていて探しやすく、それでいて視覚的には過度な主張をせず、作品の生まれた時代と作品が持つ上品さを体感できるような魅力的なデザインと構成です。

ルネ・ラリックのファンはもちろん、日常から離れた特別な時間と空間を求める人々に ー時代を遡る体験が約束された美術館ー として訪れる意義を十分に感じさせるウェブサイトでした。

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