軽やかに丸く柔らかく、「ねこのて」で業界にインパクトを
株式会社ねこのてwebサイトの概要
「株式会社ねこのて」は、採用業務を支援するB2B(Business to Business)サービス企業です。
その公式サイトでは事業内容として、以下の4つを挙げています。
- スカウトメール代行
- 媒体運用代行
- 採用ブランディング
- 社員研修
サイト冒頭に掲げられたキャッチコピーは、
ー 猫の手も借りたいほど忙しい採用ご担当者さまへ 「ねこのて」お貸しします。 ー
社名の由来と、採用活動のサポートという事業が短いキャッチコピーで明確に示されています。
︎ ⚪︎ ターゲット
- 企業の人事・採用担当者
- 経営者層
- 社員育成を重視する企業
- この会社への就職希望者
トップページの印象とサイト全体の特徴
株式会社ねこのてのサイトは、まずはその印象的な社名と、大きく表示される『「ねこのて」お貸しします。』のキャッチ、そしてアニメーションで描かれる線画の「猫の手」のイラスト、と「ねこ」づくしなことに圧倒されます。
失礼ながら初見の印象は、対企業に「採用支援」という真面目な業務を提供する会社という感じはせず、ポップで緩い気軽なイメージです。
スクロールによって現れるアイテムもフェードイン等の効果が多用され、その他、文字のフォントや色、イラストやカーソルまでが、徹底してカジュアルで丸く柔らかな方向にシフトしており、「採用」という業務の従来の堅苦しいイメージに対抗するようです。
文章量は控えめで、長く言葉を連ねるのではなく、要点に絞った簡潔さで内容を伝えようという姿勢が見えます。
それらは、相手企業担当者に不真面目なイメージを与えるリスクはありますが、その大きな「ギャップ」こそが、社名及びサイトを強く印象付けるのは確かで、多くのライバル企業に埋もれることを避ける戦略かと想像できます。
加えて、全体的に軽やかなデザインは、責任ある作業を担う採用担当者の負担を軽減する効果を表現しているとも言えそうです。特に従来の社会感覚を「時代遅れ」と感じるような若い会社には、このフットワークの軽そうな印象こそが「心に刺さる」一面もありそうです。また、この会社への就職希望者にとっては、過度の重圧を与えられない安心感を得られそうです。
イラストの多用に反して、写真画像は一切使用しない構成も特徴で、それは、「代表メッセージ」にもジャケットを着た黒猫のイラストを採用するほど徹底しています。(例外的に「休業のお知らせ」コラムには季節のイメージ写真を使用)
ねこの線画アニメーション
冒頭の”猫の手”に続き、顔を横に向ける”猫の後ろ姿”がアニメーションで描かれていきます。
赤い細い線で描かれた猫の尻尾はそのまま伸び、スクロールに従い、各コンテンツの間を蛇行するように見え隠れします。その動きにより、自然に視線は下へと向かい、訪問者にスクロール表示を誘導していく構成は見事です。
色の効果
サイトで表示される色数は絞られ、背景色を含め基本的に淡くジャンプ率は低めです。
鮮やかとは言えない優しい「赤色」がその中では強調されて一際目を惹き、要所要所に効果的に使用されています。
穏やかなトーンの中、事務的・職務的・プロフェッショナルさを表すものには、真面目な印象を与える「紺色」が使用されており、色彩効果による無意識への働きかけが秀逸です。
ユーザーインターフェース
株式会社ねこのてのサイトデザインは全体を通して統一されており、ナビゲーションリンクも常に同じ状態で表示されるので、ページを移動しても迷いにくい設計です。
グローバルナビの下のサブメニューもわかりやすく、ホバーによる動きも心地よく感じます。
アイテムほぼ全てに動きの仕掛けがある為か、情報量の割には表示がやや重い印象があります。ストレスを感じるほどではないですが、通信環境によってはもたらす効果以上の弊害となる可能性は否めません。
マルチデバイス対応もしっかりされており、スマートフォンでの閲覧は快適です。
一方、前述の丸く表示されるカーソルについては、好き嫌いが分かれるかもしれません。個人的には「面白い」「可愛らしい」「ユニーク」と思いつつ、使いやすさには疑問が残ります。
まとめ
株式会社ねこのてのウェブサイトは、その柔らかく優しげなデザインに反し、採用業務支援という仕事に対する従来のイメージを刷新する、インパクトを持った構成です。
シンプルさをベースにアニメーションやフェードイン等の効果を多用しており、フォントやカーソルにも丸みを持たせたデザインです。そのカジュアルなデザイン設計は、この会社の業務からすると賛否両論ありそうですが、多くのライバルの中、キラリと光る印象付けには効果的と感じます。
表現は軽やかで柔らかですが、事業内容はコンパクトにしっかりまとめた分かりやすい構成で、締めるべきところはしっかりと締めている巧みさがあります。
これらによって、サイトを訪れた人事担当者や経営層、就職希望者に響くようなユーザー体験設計がなされています。
「猫の手も借りたいほど忙しい採用ご担当者さま」にこそ、この癒しサイトは訴求力があるかもしれません。