木造大空間への招待状
LIDトラス
1. LIDトラス webサイトの概要
LIDトラスのWebサイトは、株式会社ランバーテックが展開する構造技術「LIDトラス」に関する情報を発信するための公式サイトです。
基本的には、LIDトラスの技術説明とそれを導入した建築事例、開発の背景を軸としており、技術的な理解を重視しつつ、導入検討者に対する信頼や納得感を構築する構成になっています。
2. サイトのターゲット
- 建築設計事務所や構造設計者
- 工務店、大工・建方業者
- 施設運営者(倉庫、店舗、スタジオ、農業倉庫などの用途をもつ非住宅建物オーナー)
- 建築技術的な価値を重視するクライアント(脱炭素、耐震性、コスト削減を重視する発注者)
- 建築学生・研究者(技術・開発ストーリーを読む層)
3. ファーストビューについて
LIDトラスウェブサイトを訪れると、まず大きなキャッチコピーが視界に飛び込みます。
「木造なのに、建物内部に柱がいらない大空間。」パッと見ただけで「普通の木造とは違う構造らしい」と興味が誘われます。
すぐに中央に画像があらわれ、画面いっぱいまで広がっていきます。
画像に表示されているのは、木材の枠組みのみで構成された空間、おそらく2階建てサイズの大きな建物のようですが、中には本当に一本の柱すらない、まさに「大空間」です。
スクロールを促す文字を添えて、自然と下方向へ視線が動くようなデザインです。
4. Webサイトの特徴
LIDトラスウェブサイトは、基本情報をトップページに収め、事例一覧のみ別ページへのリンクとなる構成です。
シンプルですが、技術サイトとしての情報の確かさと、ユーザーへわかりやすく伝える事を強く意識した、寄り添い感を両立させている印象です。
サイトの色彩
ブランドカラー:ウルトラマリンブルー。深みがあるけれども穏やかな青です。ファーストビュー以外のブランドロゴマークに使用されていますが、その他の場面での使用は見られませんでした。
背景色:白。
メインカラー:濃いグレー。
色彩設計は非常にシンプルで、落ち着きと洗練を感じます。
テキスト情報
文字量は多くはありませんが、伝える意識を強く感じるテキストデザインです。
タイトル
英字タイトルのフォントはOutfit。デザイン性がありながら、癖がなく読みやすいフォントです。
大きな太字で、はっきりとセクションを区分しているとともに、色味がシンプルなサイトで視線を集めるポイントとなっています。
見出し・本文
フォントは視認性に長けて読みやすい、Noto Sans。
行間や文字の太さ、1行の文字数にも、読みやすさへの配慮が感じられます。
LIDトラスについて

「在来軸組の上に2x4材によって構成されるトラスを載せる工法です。」と説明されています。
何よりも、大きく表示される説明イラストが、一目で情報を伝える力を持っています。
メリットの伝え方
「6つのメリット」と最初に表示されて説明されています。
それぞれに大きなサイズの番号が振られ、大変簡略化されたアイコン的イラストがついています。
番号が付くことで、閲覧者は流し見ることなく番号順に自然に視線を動かして注視することになります。単純に1、2、とせずに01、02、と「0」を付けているところに巧みさが見えます。
メリットを目で見える形で並べることで説得力が生まれています。さらに番号をつけることで、一番のメリット、さらにこんなメリットも、さらに‥と利点が積み重なっていく印象を与える効果を感じます。

事例紹介と形状例での視覚的補強
「CASE(事例紹介)」には、店舗兼事務所、ボルダリング施設、農業倉庫、ダンススタジオ、デイサービス施設など、多様な用途を持つ案件が列挙されています。
実際の写真を交えた一覧形式で、LIDトラスがどのような環境・用途で成果を出しているかを視覚的に伝えています。
また、「形状例(SHAPE)」のセクションでは、切妻、片流れ、平行弦、ハウトラス、シザートラス など、複数のトラス形状バリエーションを画像とともに提示しています。これにより、設計検討時の柔軟性・拡張性という印象を与える狙いが感じられます。
大空間を木造で、と検討する層には、具体的な事例の多さは大いに参考となり、柔軟性の高さには希望が膨らむことでしょう。

ストーリー性と共感を誘う開発背景
技術だけでなく、「STORY(開発ストーリー)」で、ものづくり大学の教授との共同開発、試作品製作・実験を重ねた年月、既存工法の課題と向き合った試行錯誤の過程などが語られています。
こうした背景は、単なる技術広告ではなく「人と技術の関係」「技術革新の道筋」が見えてきて、信頼感・共感といった効果を生むでしょう。
5. ユーザーインターフェース
LIDトラスの公式サイトはシンプルな設計なので、内容に集中して閲覧できる環境です。
ナビゲーションと導線設計
トップからSCROLLの文字による誘導がされており、ユーザーの視線を自然に下方向へ導く工夫があります。
冒頭ビジュアル+キャッチコピー → 概要説明 → メリット →ストーリー → 事例・技術紹介 →お問い合わせ、という展開は、ランディングページサイトらしい流れで、閲覧者の導線に沿った設計です。
さらに、ページ上部にはグローバルナビゲーションがあり、「ABOUT」「MERIT」「CASE」「STORY」「CONTACT」など各主要セクションへのジャンプリンクが用意されています。スクロールの手間を省き、訪問者が目的の情報へアクセスしやすいよう、配慮が見られる部分です。
読みやすさ・視認性
上でも述べましたが、文字フォント・文字サイズ・行間・見出しの配慮がされており、技術説明でも読み疲れしにくいレイアウトになっています。
また、タイトルや見出しによる区分が明確で、興味・関心にあったペースで読みすめられます。
技術説明部分では、図版とテキストのバランスがよく配分されています。
まずはビジュアルで視覚的に情報を認知させ、詳細を補足する文字情報は、専門用語を避けた分かりやすい文章で、また、一文が長くなりすぎない形で伝えており、読者を置き去りにしない配慮が見られます。
問い合わせ・行動誘導
最下部に「CONTACT(お問い合わせ)」フォームセクションが配置されており、訪問者がそのまま問い合わせに移行しやすい導線が設けられています。基本項目の入力欄とともに、プライバシーポリシーへの同意チェックも含む構成です。
また、ナビゲーションバーにも常時「CONTACT」リンクがあり、どのセクションにいても問い合わせページへ移動可能です。
まとめ
LIDトラスの公式サイトは、技術説明を主軸としつつ、視覚素材や事例紹介、開発ストーリーをバランスよく統合した構成になっています。
読み手を無理なく技術理解へと導く導線設計、落ち着いた配色・余白感、ナビゲーションの明確さなど、ランディングページならではの構成で見事に表現しています。
モノトーンの色設計や凝った演出を加えないシンプルさは、このサイトで伝えたい内容を直球で伝えるものであり、企業の信頼感を高める方向に働くと感じました。
ただ、工法の説明やメリットが詳細なのに対して、「LIDトラス」というブランドへの意識が定着しにくいような感じを受けました。その点に関して、ブランドロゴの深みのある青が、アクセントカラーとして取り入れられていると、「このブランドのサイト」というイメージを強めるのではないかという気がしました。
木の温もりを感じる建造物の良さはわかっていても、空間的な事情で諦めていた建築主にとって、この工法は大きな希望をもたらすでしょう。
開放的でありながら木造の良さを持つ建物が増えれば、それを利用するかもしれない私たちにも恩恵がありそうです。
新しい技術を分かりやすく解説するこのサイトの存在は、私たちの生活を木の温もりに包まれた良い方向に向かわせてくれるかもしれません。
