白と画像とキャッチコピーが紡ぐ癒しの空気感
やくらいガーデン
1. やくらいガーデンwebサイトの概要
「やくらいガーデン」公式ウェブサイトは、宮城県加美町にある広大な花畑・庭園施設を、豊富な画像と印象的なキャッチで紹介しています。
季節と調和した風景(菜の花、紫陽花、ひまわり、コスモス、ライトアップなど)で、自然の美しさを伝え、また、季節ごとのイベント案内も来訪意欲を誘うもので、園内カフェ・ショップ情報、アクセス案内、ニュース(お知らせ)など、来訪者にとって必要な情報が整理されて掲載されています。
「施設の魅力紹介+季節イベント案内+来訪案内」の三本柱を軸に据えて構成されており、ビジュアル+言葉で自然体験へ誘っています。
2. トップページの構成
やくらいガーデンウェブサイトは、「自然いっぱいの広大な環境」「花に埋め尽くされた庭園」「いつでも魅力ある四季の風景」が存分に感じられる動画で迎えてくれます。
ファーストビュー
画面いっぱいに表示される動画風景は、春にビオラ・菜の花、初夏のアンブレラスカイ・バラ、夏はひまわり、秋はコスモスなど、季節ごとにさまざまな顔を見せる広大な施設の姿を美しく紹介してくれます。
程よく高い視点から撮影されることによって、広さと自然の美しさが実感できます。おそらくドローン撮影なのでしょうが、この広い施設の全貌は、この視点からでこそ伝わるのではないかと感じました。
テキストの希求力
続くのは、白い背景にテキストのみのコンテンツ。
「美しい世界が、こんなところに。」
「自然は、こんなにも美しい。」
印象的なキャッチコピーに季節を重ねながら誘う言葉が並びます。
ここでは画像がない分言葉がじんわりと心に染み入り、直前に見ていたビジュアルの印象と溶け合って説得力を感じます。
静かでありながら誘引力をもつ演出です。
五感に訴える映像
続いて再び動画コンテンツ。こちらは人の目線で撮影されています。
この視点からでもガーデンの広さが充分伝わりますし、眩しい光、暖かな空気、涼しい風や花や草木の匂いなど、視覚・肌感覚・嗅覚に訴えかけるような映像です。
動きの少ない静かな動画ですが、没入感が素晴らしく、自分が室内でPCに向かっているのが、なんだか不思議な気がしてきます。
情報コンテンツとイメージブロック
さらに、スクロールすると「News/お知らせ」「季節の催し」「アクセス」などの情報が表示されていきますが、セクションとセクションの間には、写真とテキストによるイメージブロックが配置されており、このガーデンを訪問するべき理由を存分にアピールしています。
人生であと何回、
こういう風景と
出会えるだろう。
「ああ、本当にその通りだなぁ」と心が動かされるコピーです。素晴らしい表現力です。
リズムと構成力
全体として、トップページは「自然美を感じさせるビジュアル誘導 →コピーによる気持ちの誘導 → 実用情報(アクセス・基本情報) → 画像とテキストによる心への働きかけ」という流れで設計されています。
ビジュアル→テキスト→ビジュアル→テキストの繰り返しはサイトにリズムを生み、キャッチーなコピーで訪問者の興味を引き、情報を提示しつつ、さらに訪問意欲を高める構成が見事です。

3. Webサイトの特徴
やくらいガーデンの Web サイトは、魅力的な画像とテキスト、希求力のあるコピーが絶妙に配置されていて、訪問者の心を動かす力を持っているのをひしひしと感じます。
サイトの色彩
背景色:白。
メインカラー:ダークブラウン。
アクセントカラー:萌葱色。
白を基調に、自然を感じる落ち着いた色でまとめています。画像のカラフルさが活きる色彩設計です。
余白が与える空気感
このサイトのコンテンツを魅力的にしているのは、「余白=白い空間」の広さの貢献が大きいと思います。
画像もコピーライトもテキストも、ぎゅっと押し込められたならばこの「ガーデンの広さ」「自然に包まれる空気感」を伝えることはできないでしょう。
「充分な広さ」では足りない、「白が主役の空間」がこのサイトの雰囲気を支えていると感じました。

感覚的魅力を伝える:写真・動画・言葉
単なる施設紹介にとどまらず、トップのコピーや詩的な表現、写真の組み合わせにより、訪問者に「感じる」体験を重ねて伝えています。
写真
花々の色彩の素晴らしさ、ガーデンの広大さ、四季折々の変化、イベントの魅力を、視覚的に伝えているのが写真です。
高い位置からの客観的な視点の写真と、情感に訴える写真を組み合わせて、施設全体の魅力を伝えています。
動画
動画も多く使われています。派手な動きを見せるのではなく、敢えて「動きが少ない」動画であるのがポイントで、ゆったりとした空気感を効果的に伝えています。
また、トップページの項目で述べたように、五感に訴えてくる力を持っています。
コピーとテキスト
なんといっても、一番心を動かすのがキャッチコピーと詩的なテキストの数々です。
毎日画面と向き合っている
あなただから、
見つめてほしい。
空の大きさ。風の優しさ。
そして、花の美しさ。
ただ観賞するというより
ただ感動する。
そんな光景が広がっています。
今まさにPC画面を眺めている私としては、ドキッとする言葉です。
トップページでは、上で紹介したコピーに加えて、
季節の美しさは、
花が教えてくれた。人生の花言葉を、見つけにいこう。
一つ一つの言葉が、こうしてじっとPCに向かっている時こそ響いてきます。また、スマートフォンの小さな画面で広大な景色を眺めた後には、こちらはこちらで、また違った方向から響いてきます。
まさにウェブサイトで最大の効果を発揮するコピーと言えるのではないでしょうか。
フォント:Potemin。
「ぽてっとした処理が施された明朝体」のようです。比較的読みやすく、人肌のような温もりある印象を受けます。
季節感と「変化する自然」
サイトでは四季折々の花の変化、そして季節ごとのイベント(イースターフェア、アンブレラスカイ、ハロウィンフェア、星あかりなど)を強調しています。
「この季節に行くべき理由」を訪問者に意識させ、また、リピーターを誘引する力を感じます。

4. ユーザーインターフェース
やくらいガーデン Web サイトは、演出効果が控えめでシンプルな設計のため、ユーザーが迷う事なく落ち着いてサイト閲覧ができる環境です。
見やすさ・レイアウトとクリック誘導
各セクションは縦スクロール型で区切られており、「News/お知らせ」「季節の催し」「アクセス」などが段落的に並ぶ構成です。視覚的な区分けもはっきりしているので、ページ全体が縦の流れで把握しやすくなっています。
写真や見出し、リンクボタンの配置も適切で、読み進める動線が自然です。
例えば、トップ部分や各セクションに大きな画像+キャッチコピー+リンクボタン(「くわしく見てみる」など)が設置されており、視覚的に誘導する役割を兼ねています。
また、イベント紹介セクションをクリックすれば季節ごとの詳細に遷移でき、「ニュース」一覧は「続きを読む」で詳細ページを開ける構造となっています。こうした誘導設計が、情報を深く見てもらう設計として機能しているようです。
ナビゲーションとメニュー構成
画面上部にはグローバルナビゲーションがあり、「ガーデン」「イベント」「カフェ」「ショップ」「スキー場」「ロケーションフォト」「お問い合わせ」など主要なページへアクセスできます。
訪問目的(例:イベント情報を見たい、アクセスを知りたい)に応じて迅速に移動できるようになっています。
スマートフォンでの表示
レスポンシブ化されており、スマートフォンでも問題なく閲覧できる設計です。
ただし、私がこのサイトの魅力と考える「白が主役の空間」が消えてしまうのが、仕方がないこととはいえ、残念な点です。行間やコンテンツ間の余白は充分に取られているので、余裕のある空気感は保たれています。
読み込み速度
動画を使用し、写真も多いこともあり、表示にやや時間がかかる印象です。
5. サイトのターゲット
- 季節の花や自然風景を求める観光・レジャー志向の一般来訪者
- 写真撮影、特にフォトスポットを求めるカメラ愛好家・インスタユーザー・フォトウェディング
- 家族連れ、カップル、友人同士など、休日のゆったりした時間や癒しを求める人々
- 地域内・近隣市町村住民、あるいは宮城県・東北地方を旅行中の観光客
- イベント(イルミネーション、ライトアップ、シーズンフェア)に興味を持つ来訪者
まとめ
やくらいガーデンのウェブサイトは、広大なガーデンの魅力を画像とテキストを見事に調和・融合させて伝えています。単なる施設紹介サイトにとどまらず、心に訴える力に優れたものを感じます。
自然と季節の移ろいをストーリー性をもって訴えるビジュアルに、心に響くキャッチーな言葉、それらが「白が主役の空間」で輝いて、心にグイッと飛び込んできます。
特にキャッチコピーは、「都市部で、毎日PC画面と向き合っている、広い自然の風景に飢えた」、まさに『私』に向かって語りかけられているようで、ドキっと心が震えました。
花に覆われ自然に溢れた開放的な空間、癒しを感じる白い余白に優しい文体。
その中には、計算された設計力・デザイン力によって、訪問者に訴えかける力が注ぎ込まれていました。
そして、そんな「戦略的」なことを感じさせない完成度が本当に見事です。
困ったことに、ただただ癒されたいと思ってしまい、今まで取り上げてきたサイトでもよくありましたが、ここもなかなか「分析」が進まなかったウェブサイトでした。
