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087 クリムト・アライブ 東京展

黒の背景できらめく黄金の世界

クリムト・アライブ 東京展

1. クリムト・アライブ 東京展 webサイトの概要

「クリムト・アライブ 東京展」の公式Webサイト(東京展ページ)は、オーストリアの画家グスタフ・クリムトの作品やその世界観を「没入型展示」で体験する展覧会の案内を中心とした構成になっています。

ビジュアル要素を多用し、展覧会の雰囲気を視覚的に伝えることを意識しており、展覧会にこれから足を運ぼうとする人に必要な情報が整理されて掲載されています。

 

2. トップページの印象

「クリムト・アライブ 東京展」ウェブサイトトップページは、開いた瞬間から、きらびやかなクリムトの金色の世界が一面に広がっていて、その魅力に一瞬で惹きつけられました。

世界初開催!」「華やかな装飾性と世紀末的な官能美」というキャッチコピーと共に表示されるのは、クリムトの代表的な絵画『接吻』の画像、そして、スクリーンを使用した展示の様子が一体化したメインビジュアルで、これだけでこの展覧会のコンセプトがしっかりと伝わってきます。

その下には会期情報・グローバルナビゲーション、続くコンテンツは「お知らせ」「Movie」「開催概要」「SNS」。

このページでメインビジュアルと並び素晴らしいのは、その背景です。
金色が特に輝いて映える黒をベースに、『アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像 I』に見られる渦巻き模様を金線で描いたり、『接吻』などにも使用されている特徴的な金色の長方形の背景によって、クリムトの独特の世界観がウェブ上に見事に表現されているのが素晴らしいです。

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3. ウェブサイト全体の特徴

「クリムト・アライブ 東京展」ウェブサイトは、トップページの「クリムトらしい」雰囲気を、全体を通して少しもブレることなく表現しているのが素晴らしいです。

テーマに沿った世界観

クリムトは芸術家人生の中で、様々な様式の絵画を残していますが、私たちが真っ先に思い浮かべるのは『接吻』に代表される「黄金様式」です。

この展覧会もその「華やかな装飾性」に焦点を絞り、煌びやかさや「世紀末的な官能美」というテーマを持っていますが、このサイトも見事にそのテーマを貫いたデザイン要素で表現されています。

モチーフ配置によるサイトの装飾

クリムトの絵画の特徴の一つは、日本の琳派に影響を受けたとも言われる「装飾性」でしょう。

このウェブサイトも、装飾性に重点を置いて世界観を構築しており、サイト内に「居る」だけで、その世界に取り囲まれたような気持ちになってきます。

モチーフのサイト上への取り入れは、背景での「渦巻き」「縦長の長方形」「ちりばめたような金の点」などに加え、コンテンツを縁どる枠組みにも、絵の中に見られるアーモンド型のモチーフを取り入れた形が見られます。

087 クリムト・アライブ東京展 コラボメニュー

サイトの色彩

背景:黒色黒ベースに金色で描かれる模様装飾性のあるパターンで描く金色
メインカラー:金色
サブカラー:ボルドー:深みの強い赤。

トップページで見られる背景の装飾は、他のページでも形を変えて展開され、ウェブサイトの世界観を支えています。どれも、「黒」「金色」を基調として、クリムト作品に見られるモチーフを再現しています。

フォント

見出し:Noto Serif JP、serif体
本文:Noto Sans JP、sans-serif体

見出しは明朝・セリフ系、さらにナビゲーションや大見出しのアルファベットは、装飾性を強く感じる特徴的なコンデンス書体で、世界観を演出しています。

それに対して、本文にはゴシック・サンセリフ系を使用して読みやすさに配慮が感じられます。

コラボレーションと限定性の演出

例えば、「カフェタナカ・黄金クッキー缶付きチケット」の案内など、限定グッズとのコラボ商品がサイトに掲載され、これは単なる展覧会告知というだけでなく「体験+グッズ」の付加価値を持たせているような印象を受けます。限定性・希少性を感じさせることでより興味を引き、来場を促す戦略とも取れます。

 

4. サイトのターゲット

  • 美術・アートファン:クリムトの作品や世紀末芸術に興味を持つ人。
  • 展覧会体験を重視する人:没入型展示や演出で視覚・感性で満たされる体験を求める人。Web上で画像や動画で展覧会の雰囲気を予め掴みたい人。
  • チケット購入を検討している人:日時・種類・価格が気になる人(一般、学生、家族連れなど)。会場(日本橋三井ホール)のアクセスを確認したい人。

 

5. ユーザーインターフェース

「クリムト・アライブ 東京展」ウェブサイトは、クリムト作品の持つ世界観をウェブ上に再現し、作品世界を感じながらサイト内を楽しめる完成度を持っています。

ナビゲーションの明瞭さとデザイン性

ナビゲーション項目が明快なので、初見でも迷いにくいです。
また、単なるナビゲーション機能を持つ要素にとどまらず、色・フォントの設定で、世界観を補強しているデザイン性が素晴らしいです。

ビジュアルとテキストのバランス:

画像やアイコン、動画リンクなど視覚的要素が豊富ですが、テキストも読みやすい行間・書体で整理されており、「見やすさ」と「雰囲気」が絶妙に調和して存在しています。

レスポンシブや操作性

画像のレイアウトやボタン風リンクなどが適度に配置されており、スマートフォンでの閲覧にも対応した設計です。

PC表示で画像表示に重さを感じた面がありましたが、モバイル環境ではスムーズに表示される印象で、(タイミングの問題かもしれませんが)設計上の配慮があるような感じを受けました。

ユーザーの動線に沿った設計

「チケット購入」「開催概要」「アクセス」「お知らせ」「SNS」など、目的別にナビゲーションが整理されており、ユーザーが自分の知りたい情報へたどり着きやすい構造です。

特にチケット関係は、常にリンクが表示されているため導線に優れ、「種類」「価格」「販売期間」「引き換え方法」など細かく案内されており、疑問を抱きにくい設計です。

また、「ナイトペアチケット」「コラボ商品付き」などの特別チケット案内が、ユーザーのアクションを引き出すデザインになっています。

ユーザーへの配慮

未就学児無料、学生証要提示など料金体系についても明記されており、混雑予想と来場のタイミング提案(平日・会期序盤など)など、来場者視点の案内に丁寧さを感じるのが好印象です。

 


まとめ

「クリムト・アライブ 東京展」の公式Webサイトは、クリムトの世界観に満ちたデザインとビジュアルで、訪問者を引き込む魅力に満ちていました。

メインとなるビジュアル品質の確かさはもちろんですが、作品内のモチーフを取り込み背景を作り込んだ世界観の演出には、感動を覚えるほどでした。
クリムトの作品自体に「黒」の印象はありませんが、「黄金様式」の絵画を引き立てるのに黒以上の存在はないでしょう。
「官能美」と題されていますが、「黒」の中に浮かび上がる「黄金」の絵画には、私は崇高な輝きを感じました。

情報性にも優れ、鑑賞者にとって必要な情報を的確に整理・提示される安定感と、限定商品や特別チケットなどの要素で来場動機を高める工夫は、当たり前のようにサイトの空気に馴染んで存在しています。
おそらく会場で感じられる、作品とスクリーン演出とのコラボレーションと同じような統一感が、このサイト内にも生まれているような気がしました。

どこを見てもクリムトの華やかな装飾性に包まれるサイト設計は素晴らしく、展覧会への期待も自然と膨らむようなサイト体験ができました。

 

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