全体を桜色に染めて訪問者を迎える、日本一の桜の宮
新倉富士浅間神社公式ウェブサイト
1 新倉富士浅間神社WEBサイトの概要
新倉富士浅間神社は、山梨県富士吉田市・新倉山の中腹にあり、古くから地元の信仰を集める格式ある神社です。主祭神は富士山の女神・木花咲耶姫命(このはなさくやひめのみこと)で、ご利益を願う参拝者が多く訪れます。
ここは参拝だけでなく、観光地としても非常に人気です。境内を取り囲む約650本の桜や、赤い大鳥居、五重塔(忠霊塔)が織り成す風景は、日本らしい雅な絶景です。
富士山・桜・五重塔が一度に望める景観がSNSで拡散されたことで海外からの注目が高まりました。特に春の写真がInstagramや旅行系メディアで人気となり、訪日観光客の定番スポットとして急速に知名度を上げています。逆輸入の形で日本人観光客も増加し、いわゆる「映える」光景に心を奪われる人が後を絶ちません。
新倉富士浅間神社の公式ウェブサイトは、由緒ある神社の情報を丁寧に伝えながらも、「富士山眺望日本一・富士山と桜の宮」というキャッチコピー通り、うっとりするようなビジュアルで飾られた、観光参拝も意識した構成です。
2 トップページの印象
新倉富士浅間神社サイトのトップページは、桜色に包まれています。ヘッダー・フッターは淡い桜色、グローバルナビゲーションは少し濃い桜色になっています。そこに表示されるロゴや文字は落ち着いた紅殻色(赤茶)で、優しく桜色に馴染みつつも、視認性を保っています。
ヘッダー右上には、Instagramのアイコン表示があり、「格式ある神社」という言葉には馴染まないような気がしますが、この神社らしく、人々に「求められることに応える」サービスとも言えそうです。
1 ファーストビュー
中央のビジュアルは、「本殿」と「富士と桜と五重塔」が交互にフェードイン表示されています。本殿はこの神社の格式と厳粛さをよく表しており、五重塔の奥に桜と富士山を望むシンボリックな景観は、ヘッダーに表示される「富士山眺望日本一・富士山と桜の宮」というキャッチコピーを納得させるものです。
この画像はクリックでモーダルウインドウ表示され、黒を背景にした画像は、桜色の中で見るのとはまた違った風情で、写真自体をじっくりと鑑賞できます。特に「富士と桜と五重塔」の画像の美しさは格別です。「映え」を意識しているわけではないでしょうが、これだけSNS等で注目される美麗な景色ですから、力の入った写真選択が行われたのではないでしょうか。
ヘッダーも含め、参拝者、および観光が主な目的である訪問者のどちらも意識してのサイト設計だと言えます。
2 桜のマーク付き:「神社からのお知らせ」
続くコンテンツは「神社からのお知らせ」。タイトルに桜のマークが添えられているのが印象的です。枠線も桜色で、本当にトップページの隅から隅まで桜に染まっていて、心が明るくほっこりしてきます。
3 特徴
新倉富士浅間神社ウェブサイトは、トップページこそ、神社らしさとその景観美の双方に等分な設計でしたが、全体としては宗教施設として、参拝者の利便性を考慮した構成です。
ご祭神・由緒:木花咲耶姫命 (このはなさくやひめのみこと)を主神としたご祭神や、西暦で言うと704年まで遡る由緒、祭事・年間行事が詳細に紹介されています。
ご祈祷:ご祈祷内容、初穂料、受付方法など、参拝者が必要とする情報がきちんと明記されています。
境内案内:境内配置図が、やさしい色使いのイラストで表示されています。デフォルメされていますが、位置関係がわかりやすく、また文字が大変見やすいのが印象的です。
各施設の画像も表示され、参拝前にイメージが掴みやすい配慮が見られます。
ブログ:ブログという名称ですが、新着情報が表示されています。御朱印や、桜まつり等、こちらも参拝者や訪問者への周知に積極的な様子が見られます。
アクセス:「鎮座地」との表現がさすが神社です。Googleマップ埋め込みで、拡大縮小もできるので、利用者への便が図られています。
また、マップイラストが本当に素敵です。道路は濃淡の桜色で表現され、サブに緑と水色、簡略化されシンプルなイラストマップが、白い背景に明るく可愛らしく表示されています。
1 色彩 – 桜色と紅殻色
既に述べているように、桜色の濃淡が大変印象的なサイトです。もちろん、桜と富士山を望む景観が自慢だということもあるでしょうが、桜が咲くという意味を持つといわれる『木花咲耶姫命』をイメージしてのものでしょう。
サブカラーは紅殻色で、文字やマーク、ボーダー線などに使用されています。紅殻色は神社仏閣によく使用される色なので、このサイトにもぴったりです。桜色との相性もよく、よく馴染む中にも視認性が保たれています。
サイトは殆ど桜色と紅殻色の2色で色取られていて、大変明るく、幸せを感じさせてくれます。
加えて、黄緑色がホバー色やイラストなどに使用されており、桜色を引き立て、画面にアクセントを与えています。
2 テキスト
フォントはシンプルに標準ゴシック体を使用。ただし、ヘッダーの『三國第一山 新倉富士浅間神社』だけは明朝体を使用しているので、日本の宗教施設らしさが出ています。
文章は大変丁寧な言葉遣いですが、難解な言葉を避けている印象を受けました。格式ある神社としての威厳を保ちながらも、伝わりやすさに配慮が感じられます。
4 ユーザーインターフェース
新倉富士浅間神社ウェブサイトのメニューはシンプルで分かりやすく、ページ間の移動もスムーズです。大きなボタンメニューにアクセントカラーのホバーがあるので、誰にでも分かりやすいデザインです。
インバウンド人気にも関わらず、多言語には対応していません。純粋な参拝者の為にある神社と考えれば、その必要もないのかもしれません。
Instagramのリンクがヘッダーに明示され、SNSへの連携・発信が図られています。
まとめ
新倉富士浅間神社の公式WEBサイトは、全体が主神『木花咲耶姫命』のイメージ「桜色」に染まって、訪れる人を優しく迎えてくれます。
内容は宗教施設としての案内を中心としていますが、メインビジュアルの一つには「富士と桜と五重塔」を用いており、Instagramから評判となったように流石の美しさを見せています。
参拝者には格式と優しさを兼ね備えた様子で情報提供をし、その景色を求めて訪れる人々にも、その優しさを分け与えるような配慮が見られます。Instagramでの情報提供やブログ(新着情報)などがその例で、今の時代に合わせた人々への恩恵の分け与え方かとも思えました。
桜はサッと散っていくのが美しくもあるのですが、このサイトの桜色はいつでも訪問者を明るく包み込んでくれ、優しさに満ちているものでした。