モダンスタイリッシュな照明の「あかり」がもたらす笑顔
オーデリック - ODELICウェブサイト
1 オーデリックWebサイトの概要
オーデリック株式会社(ODELIC)は、1951年創業の照明器具の製造・販売を専門とする日本の老舗企業です。国内生産にこだわり、高品質であることも高く評価されています。
オーデリックのウェブサイトは、主にLED照明の製品紹介、施工事例、製品サポート、品番検索などを展開するとともに、「あかり」によって快適で質の高い暮らしと空間を創造し続ける、その姿勢を強く示しています。
サイトは2025年6月9日にリニューアルしたばかりです。変更点について詳細は分かりませんが、商品購入の検討者はもちろん、ウェブサイト閲覧だけでも見る価値のある完成度を持っていると感じました。
2 ターゲット
オーデリックウェブサイトのターゲットは、住宅・施設の照明を検討する個人オーナー、設計・施工のプロフェッショナル、そして照明に興味を持つ一般ユーザーまで、幅広い層に向けた設計意識が感じられます。
英語・中国語のページも用意されており、その対象は世界に広がっていることがわかります。
また、就職希望者に向けた情報も提供されています。
3 トップページの印象
オーデリックウェブサイトトップページのファーストビューは、闇が迫る黄昏時間に、ポッとあかりが灯る部屋だけが明るく輝いている印象的な画像で、サイトを訪れると優しく迎え入れられたような、ホッと安心する心地がします。
薄暗い景色を照らす部屋からは温もりが、一方添えられるキャッチ「光で明日を変えていく」からは、力強い決意のようなものが感じられます。
デザイン的には、青のグラデーションの空に、ナビゲーションとキャッチで上部横枠を、もう一つの英文キャッチ「HABITATION + STRUCTURAL」で左縦枠を作って、建物の明るい部屋を囲み強調する構成となっています。
全体は白い背景に、コンテンツをブロック型に配置、色彩はグレーを基調にトーンを落とした赤・青・黄が加わってアクセントとなっており、非常にモダンな印象です。
4 特徴
オーデリックのウェブサイト全体が、トップページの要素を引き継いだブロック構成を基本としています。整然と同じ四角が並ぶばかりではなく、幅を変え高さを変え、リズムを生みながらも、全体的にはきちんと四角の形にまとまり納まる。どこか住宅の間取り図を思わせます。
モダンでスタイリッシュな印象も変わらず継承され、モノトーンをベースに、派手な色は控えてデザインされています。画像も、明るい写真、ダークトーンの写真をバランス良く配置することで単調な雰囲気にならないリズム感を演出しています。
動画を多く取り入れているのも特徴で、コンセプトを印象的に、またカタログでは伝わらない細部を詳細に伝えています。
1 ブランドイメージ
オーデリックのロゴマークはシンプルな「ODELIC 」のタイポグラフィで表現されています。基本的に黒で表現されているので、「黒」がブランドカラーと言えるでしょうか。
アクセントカラーとしては紫味の強い深い赤が見られます。– この色を何と表現したらいいか、実はかなりの時間迷いました。「臙脂色」が一番に浮かんだのですが、臙脂色の定義が曖昧で‥少なくともWikipediaがえんじ色の代表色とするものとはかなり違います。(16進色が#A20139に対し、Wikipediaの例は#B3424A)JIS慣用色を正とすれば #A0283Aの茜色が近いのですが‥- 閑話休題 – ここではJIS慣用色に従ってこの赤を茜色と表現したいと思います。
ウェブページのデザインや商品デザインからは、モダンな印象を受けます。ブロック、幾何学的、モノトーンなどがそう感じる要素でしょうか。
一方、イメージビジュアルからは、明かりがもたらす温かみやホッとする安らぎを感じます。個人宅や街頭照明などの施工事例でも、照明によって人が安心して過ごせるような雰囲気が生まれていることを感じさせるものが数多くありました。
笑顔ひろがる、その先の“あかり”をめざして。
これは「オーデリックの強み」ページのキャッチです。
モダンで都会的なスタイリッシュさを基本としながら、製品が生活にもたらすものは「笑顔ひろがる」生活ということをウェブページと商品で表現していると言えるのでしょう
2 商品紹介
商品紹介写真は、ただ商品全体を写したものを並べるのではなく、端が切れるようなトリミングが多く取り入れられています。一部が切れていることでつい全体が見たくなる、という人間の心理を利用して「詳細ページへのワンクリック」を誘うという、紙のカタログでは叶わない、ウェブならではの利点を良く生かしています。
詳細説明には動画も活用されていて、こう言ったユーザー体験の提供も商品利用の後押しに大きく貢献していると思われます。
3 ドラマティックな施工事例
このページは雰囲気がガラッと変わります。黒い背景に配置された施工事例写真は、暗いギャラリーでスポットライトを浴びる展示物のように並んでいます。良い写真を撮るのには光にこだわると言いますが、照明自体が主役となるオーデリックの施工写真は、照明が作り出す光の美しさが人を惹きつける魅力を持っています。
どの写真も素晴らしくドラマティックで、オーデリックの製品の購入や施工導入を考える閲覧者の心を、間違いなく捉えることでしょう。
4 動画を使ったショールーム案内
ショールーム案内ページ冒頭ビジュアルにも大きく動画が使用されています。
さらに、ショールームゾーンごとの動画も用意されており、ショールームへの来訪を検討するユーザーのみならず、実際に訪問できないユーザーにも、動画という仮想体験を通じて、商品選定の一助となっているのではないでしょうか。
5 リクルートページ
オーデリックは、WEBサイトでの就職希望者へのアピールにも注力している様子が伺えます。動画ビジュアルの使用、数字で見せる実績、職種の詳細な説明等、商品紹介ページに劣らないほどの情報量で語っています。
採用情報ページはもちろん、企業情報ページもかなりの比重で、就職希望者へのアピールを意識しているように感じます。
「光のチカラ」で、未来を灯す
この力強いメッセージは、共に働きたいという「光」を就職を希望する人の心に灯すのではないでしょうか。
6 英語・中国語版Webページ – 海外事業拡大へ
オーデリックは「日本からアジアへ、そしてアジアから世界へ。」という成長ビジョンを掲げ、それを反映するように外国語版のウェブページも作成対応しています。対応言語は英語と中国語。動画はない様子ですが、かなりの情報量があります。
ブロック型のコンテンツ配置、スタイリッシュな印象は変わりませんが、文化の違いや主力商品の違いをしっかりと反映したサイト設計になっています。
英語版・中国語版両方とも、トップで見せるのは力強い筆書きの線のビジュアルに「SAMURAI LIGHTING」のタイポグラフィ。オーデリックの「国内開発・生産」というこだわりを「SAMURAI」とブランド化してアピールしています。
基本は白ベースに画像も明るいページデザインですが、SAMURAI LIGHTINGページは黒い背景にアクセントカラーとして茜色を使用し、外国人が持つ「日本の強さ」のイメージを表現しているようです。
5 UI、UX
オーデリックウェブサイトは、利用者の使いやすさに配慮したユーザーインターフェイスを持ち、利用者の満足度に貢献するコンテンツや機能が盛り込まれています。
1 ナビゲーション
シンプルなナビゲーションに見やすさ重視のレイアウトで、直感的に操作できる印象です。特にグローバルナビゲーションは、固定でありながら表示と格納切り替えがあり、そのタイミングが大変的確だと感じます。必要な時にはきちんと現れ、じっくりと動画を試聴したり、商品を吟味したり集中したい時には消えてくれる絶妙さがあります。
2 動画の効果
日本語版に限りますが、動画の多用は、ユーザーにオーデリックの世界観を伝える良い手段になっていると思います。加えて、ショールームページでの事例のように、仮想体験の提供ともなっているのではないかという印象を受けました。
多言語対応については、上記のように丁寧なページ作成が行われている中動画を排除した構成にしたのは、おそらくアクセス環境に配慮してのことではないかと思われます。
3 高度な検索機能
オーデリックの商品は、そのバリエーションを含めると膨大な数に上ります。検索機能は型番がわかっているものはもちろん、漠然としたイメージから具体的な商品を絞り込み表示してくれるので大変便利で、利用者の時間短縮と満足度に貢献していることでしょう。
4 企業情報の充実
オーデリックの企業情報ページは、単に所在地等の基本情報や沿革を示すのにとどまらず、企業理念や環境への取り組みなど、詳細かつ想いを込めて綴られています。環境意識の高い方、企業理念に共感を覚える層、また就職希望者へも強くアピールするパワーを感じました。
まとめ
オーデリックのwebサイトは、「あかり」がもたらす安心と暮らしの心地よさを笑顔に繋げるという企業精神を、メインビジュアルや多く散りばめられたキャッチで雄弁に語っています。
製品とウェブデザインはモダンでスタイリッシュ、灯されるあかりはやわらかで温かみを感じるという2つの面を良い形で併せ持っている印象を受けました。
照明は主に陽の落ちた暗い夜に活躍するものですが、昼もまた美しいものであって欲しいもの。オーデリックがそんな昼の顔と夜の顔の両面性を意識しているからこそ、生まれた印象だと考えると素晴らしいです。
サイト設計もユーザーに寄り添ったものであり、製品の良さを広く伝えようという精神も端々から感じられます。
日々日常を過ごす街中でさえ、気づかずとも私を照らしていてくれたオーデリックの「あかり」が、広く海外へも広がるのを確信できるような、そんなウェブ体験ができました。