造形美で魅せるテーマと世界観
エテュセ:ettusais
1. エテュセwebサイトの概要
エテュセ(ettusais)は、化粧品ブランドとして、スキンケア~メイクアップ製品を展開しています。
エテュセ公式webサイトでは、季節のコレクションとカテゴリ別製品群が一覧できます。
また、店舗情報やコーポレートといった基本的なナビゲーションがあり、SNS関係の表示も目立つ位置に配置されています。
このように、エテュセ公式ウェブサイトは「最新コレクションの発信」「製品カタログ表示」「ブランドの世界観」が三本柱となっている構成です。
2. サイトのターゲット
- コスメ・メイク好きな20〜30代の女性
- トレンドや季節性、個性を意識しつつ落ち着いた上品さを求めたい人
- SNSやビジュアル表現を重視し、情報発信・共有をすることに抵抗がない層
- オンラインで製品情報をチェックしたい/製品を検討する段階にある層
- ブランドストーリーや信頼性を重視する人
これらの層に向けて、エテュセは「共感と信頼」「美の可能性=変化を楽しむ」を訴求しているように感じられます。
3. ファーストビューについて
エテュセWebサイトを開くとまず目に飛び込むのは、大判のビジュアルスライダーです。
同じポーズのモデルが、メイクと服を変えて入れ替わります。背景色の大きな変化も加わり、同じ構図なのに雰囲気がガラッと変わります。
その変化の中でも、特に目を引くのがモデルの髪型です。きっちりと整えた髪の毛が、植物の葉と茎のように編み込まれ、お団子に結った髪は花のようです。


大変個性的な表現方法であり、ブランドのテーマが浮かび上がってくるようです。
女性の横顔に現れる、造形物的な1輪の花。3枚のビジュアルそれぞれ、微妙に違った形を持っており、「女性の美」と「個性」と「造形美」を表しているように感じられます。
まさにページトップに掲げられたメインコピー「今から変わるよ。なりたい私に。」そのもののように思えます。
4. Webサイトの特徴
エテュセWebサイトは、ロングスクロールのトップページを中心に、各分類ごとに並べられた商品一覧ページと各商品の詳細ページとショップページが付属する構造です。
実質的にはトップページで基本情報が網羅されており、気になった商品の詳細リンクへ繋ぐ設計となっています。
サイトの色彩
背景色:淡いグレー。若干色味のあるグレーです。白よりも落ち着いた印象をサイトに与えています。
メインカラー:同上。背景色がメインカラーとして存在している印象です。
アクセントカラー:濃いグレー。リンクボタンなどに使用されています。
文字カラー:黒。
全体的にモノトーンで構成されています。商品パッケージも比較的アースカラーで派手さがなく、その画像もピックアップされた商品以外は大変控えめに掲載されています。
冒頭のメインビジュアルスライダーおよび今シーズンのテーマメイクビジュアル、わずかそれだけが色味を感じさせるようなサイトなので、文字サイズを大きくとった黒の文字が存在感を示しています。
2025 AUTUMN COLLECTION

今シーズンのメイク提案。大きなテキストで提示されたテーマと、このサイトで一番のボリュームを持つシーズンメイクビジュアルが表示されています。
ウェブページでそれ以上を語ることはなく、詳細はエテュセ公式インスタグラムへと案内されています。画像がコンセプトを全て伝えているということなのでしょう。
「透明ツヤ肌」「光と影の陰影表現」といったテーマが、光の使い方やレタッチ・画像加工を加えてビジュアル上に丁寧に表現されています。
特に肌は、質感はありながらビスクドールのような滑らかさです。モデルの整った顔立ちはもちろんですが、メイク技術と完璧な撮影・照明、そして画像として作り込んだ完成度が素晴らしく、ため息が出るような造形美を見せています。
商品導線
トップページにFACE / EYE / LIP という三大カテゴリへの導線が並び、スクロールで視線が自然とカタログ部分へと誘導されていきます。
製品名(例:トーンアップ UVプライマー、マスカラ ベース リッチ、ティントルージュ など)がずらりとリストアップされており、ここからクリックで詳細情報ページへ飛ぶ設計です。
5. ユーザーインターフェース
エテュセWebサイトは、1ページランディングページに近い設計のため、ユーザーが迷うことなく、スクロールで情報を辿ることができます。
ナビゲーションと導線
ページ左上にはハンバーガーボタンが常時表示されており、グローバルナビゲーションにより、目的を持つユーザーをスムーズに案内する役割を果たしています。
アコーディオン表示によって階層分けされサブカテゴリが表示されるので、最短での遷移が可能となっています。
リンク・誘導
SNSリンクが複数設置され、ブランドと接続する経路をあちこちに設けています。
特に、インスタグラムへの誘導が目立ち、ここからの発信に力を入れているのがわかります。
モバイル対応
縦長スクロールにハンバーガーボタンでのナビゲーション機能を持つこのサイトには、モバイルファーストでの設計意識を感じます。
動作も快適で、余白の取り方も視覚的余裕を感じさせます。
まとめ
エテュセ公式ウェブサイトは、多くのビジュアルや派手な演出効果に頼ることなく、主題に絞った簡潔さで伝えるべきことを確実に伝えています。
モノトーンのサイトデザインは、ブランドターゲットとなる若い女性なりの落ち着きと上品さを表現しているような印象です。
その中で、数は少ないながら細やかなところまで手を入れた完成度の高い掲載ビジュアルが、「テーマ」「ブランドの世界観」「(ユーザーが)『理想とする私』の姿」を確実に伝えていると感じました。
造形的な要素を感じるビジュアルは、「自然な美しさ」「素肌感」などとは違う方向性をはっきりと示しています。本来の美しさを引き出すというよりは、自分で「なりたい自分に変わる」という意思の強さを感じる作り込みです。
また文字情報も、キャッチと簡潔なテーマ提示をするのみで、多くを語ることなく、核となる部分を感覚的なイメージで伝えている印象です。
どこまで意識しているかはわかりませんが、「タイパ世代」と呼ばれることもあるターゲット年代には、こういったサイトの方向性は理にかなっているような気がします。インスタグラムの重視傾向を見ても、時代性を持って行動する企業意識を感じます。
商品のラインナップやパッケージには、奇抜さのない安定感がありますし、サイトデザインも落ち着いています。その中での「自己主張」は、世代を超えて好意的に受け止められるものになるのではないかと思います。
総じて、美容系のサイトはビジュアルに特に力を入れ、細部まで神経の行き届いた完成度を持っていますが、エテュセのサイトもまた、見事な造形的ビジュアル表現で私の目を楽しませてくれました。
