具体的・多方向からの支援の提案、「自走型保護猫活動」
ネコリパブリック
1. ネコリパブリック webサイトの概要
ネコリパブリックは、保護猫の里親募集、保護猫カフェ運営、猫助けプロジェクト企画、オリジナルグッズ販売などを通じて、「猫助け」の輪を広げる団体/事業体です。
ネコリパブリック公式ウェブサイトでは、それらの活動紹介、参加案内、グッズ紹介、イベント情報、読みものコンテンツなどが統合されています。
サイト全体は、保護猫活動という社会性の強いテーマを扱いながら、やわらかな語り口で伝えており、「見る・知る・参加する」の流れを自然につなげる構成になっています。
2. トップページについて
ネコリパブリックウェブサイトのトップページを訪れると、3つの情報が一気に目に飛び込んできます。
一番目を引くのは、なんと言っても可愛くて、愛らしい猫の姿です。柔らかなスライド切り替えで表示されていく猫の姿には、「癒される」「守りたい」という気持ちが自然に起こってきます。
ビジュアルの上には「SAVE THE CAT」のスローガン。このサイトが、ただ単に「猫の可愛さ」を伝えるのではなく「猫を保護する」という理念のもとに運営されていることが伝わるキャッチです。
3つ目の要素が、具体的な支援の案内ボタンです。現在は「能登半島地震•被災地猫レスキュー基金」「お買い物して猫助け」「定期支援をする」の3つの案内が並んでいます。時事性・緊急性のある情報を筆頭に、無理ない支援、継続性のある支援の呼びかけと続いている感じです。
ソフトな呼びかけ
メインビジュアルの下にも案内バナーボタンが並んでいますが、「ふるさと納税で猫助け」「SAVE THE CAT Project 猫×地域」と言った感じで、生活の延長線上の支援と言った雰囲気を持っています。
ユーザーにとっては参加・支援のハードルが低く感じられ、まずはふるさと納税から、と気軽にアクションを起こせるのではないでしょうか。
ネコリパブリックについて
続くコンテンツでは、猫の写真とともに、「この世の全ての猫に 安心して眠れる場所と お腹いっぱいの幸せを与えたい。」というコピーが並び、ネコリパブリックの目的が示されています。
静かで押し付けがましさを感じない文章の中に、確かな想いと志がしっかりと感じられます。

在籍猫の紹介ギャラリー
スクロールすると、在籍中の猫たちの写真と情報が並ぶ「NECO gallery」セクションがあります。各猫の名前、年齢、性格、所在場所などが簡潔に記されており、閲覧者が「この子に会いたい」と思えるような雰囲気を持っています。
最新情報・イベント・読みものの提示
下部には、最新のイベント情報・読みもの(猫カフェ日記、読みもの等)が並び、「ネコリパブリックの現在進行形」を見せる構成です。
カーソルを合わせるとバナーがぐるりと回って表示が変わるホバー効果があり、サイト閲覧を楽しいものにしています。
トップページは全体として、視覚的に引きつけ、理念への共感を誘い、具体的な行動へ誘導するといった流れに沿った構成となっています。
3. Webサイトの特徴
ネコリパブリックのウェブサイトは、他の保護猫団体や動物支援団体とは違った方向から支援活動に取り組む、ネコリパブリックの活動の特徴を伝える役割を持っています。
多方向からの支援行動提案
多くの保護猫団体サイトが「里親募集情報」「支援案内」「活動報告」に主軸を置く中、ネコリパブリックはさらに「猫カフェの利用」「雑貨・ファッション・日常品のショッピング」が猫助けにつながると言った方向からも支援行動に結びつけています。
トップページにおいても、保護猫活動だけでなく「グッズ紹介」「イベント・読みもの」も扱っており、支援行動を日常生活と結びつけようという意識が感じられます。
全体を通して、活動が限られた一部の人に止まる事なく、できる範囲で、広く多くの人に関わってもらうという意識を感じます。
保護猫に関心はあってもさまざまな事情で飼うことができない人にも、無理ない行動で関わることが出来る、実効性を持った方向付けを感じます。

自走型モデルの打ち出し
サイト冒頭に、「ビジネスとしても『自走」』できることを目指す新しいスタイルの『自走型保護猫カフェ』としてスタートしました」という文言が記されています。
これは、活動を寄付と補助金だけに依存するのではなく、持続可能性を備えたモデルを構築しようという強い意志の表れと感じます。
グッズ販売、カフェ運営、企業提携など、収益性を伴う事業を組み込むことで、支援継続性を保つ構造は、崇高な想いだけで頓挫してしまうことのない、しっかりとした計画性・企画力を感じます。
多様な連携・プロジェクト展開
ネコリパブリックは、単独で動くのではなく、地域の保護猫団体と協働、企業提携プロジェクト(例:HAPPY NECO CYCLE)、イベント参加(ネコ市ネコ座など) を展開しています。
このようなマルチチャネルでの連携強化により、支援ネットワークを広げ、社会認知を高める、行動の基盤強化を図っているのが、サイトからもしっかりと伝わります。

継続性と物語性を重視した表現
ウェブサイト全体を通じて、「命を救うという選択肢をまず選んでほしい」「命を預かる・育む」といった言葉が一貫して使われています。
また、猫一匹ひとりへのプロフィール紹介、読みもの記事、イベントレポートなどで「その先=未来」を感じさせる語り口が多用されており、単なる情報提示を超えた「ストーリー性」が、閲覧者の共感を生み、さらに活動を支える力へ育つ効果が感じられます。
見せ方の工夫
ギャラリー形式での猫紹介は、画像中心ながらテキスト情報も併記されており、視覚的な吸引力と説明性を両立しています。
最新情報やイベント、読みもの記事がカード形式で一覧表示されており、タイトルと日付が読み取りやすく、クリックしやすい構造です。
ホバー時のアクションにも工夫が見え、カード全体が斜めに傾く動きには、意識を惹きつけクリックを誘う効果を感じます。

読みもの・ブログ的要素との統合
「猫カフェ日記と読みもの NECORE JOURNAL」や「ネコリパのイベントなど最新情報 NECOREPUBLIC INFO」が、トップページからスムーズにアクセスできるよう、目立つ位置に配置されています。
これにより、「情報を受け取る・深く知る」方向の利用者動線も確保されており、サイト滞在・読み物誘導の観点でもバランスが取れている感じです。
サイトの色彩
背景色:白。
メインカラー:落ち着いたサーモンピンク。
サブカラー:淡いベージュ。
派手さのない落ち着いた色合いで、安らぎと癒しを感じます。保護猫たちが里親の元で安らぐ事、猫と接する人々が癒しを感じられる事を願う、そんな思いを感じる色彩です。
4. ユーザーインターフェース
ネコリパブリックウェブサイトは利便性を保ちながら、サイト閲覧に楽しさを与える意識が感じられます。
ナビゲーションとメニュー構造
ヘッダー部にはメインメニュー(ホーム、ネコリパブリックとは、店舗一覧、ネコリパの猫たち、保護猫を家族にしたい、企業連携プロジェクト、支援、イベント、相談、グッズ、読みもの、情報、お問い合わせなど) が揃っており、目的別に辿りやすく設計されています。
会員ログイン/新規登録もヘッダーに配置されており、定期支援会員向け機能への導線が明確です。
ショップへの導線
グッズショップへは、外部リンク(公式ショップ、楽天店、Yahoo!店)も案内されており、購入の選択肢が複数設計されています。
サイト全体を通してナビゲーション設計は「目的からのアクセス性」を重視している感じで、ユーザーが自分の関心領域に素早く到達できるようになっています。
行動への導線
主要なCTA(寄付・支援・グッズ購入)は目立つボタン形状で配置され、「行動を起こす」方向に誘導する役割を果たします。
各ページのスクロールや動線が直線的で、回遊性を意識して設計されている印象があります。興味から情報ページへ、そこからまた次の情報へと閲覧を進めるうちに、自然と考えに共感を覚えてくるような感じです。
また、動きのあるホバー効果が多く、サイト閲覧に楽しみをもたらしています。目を惹き、積極的にクリックを促す効果を感じます。
レスポンシブ対応
スマートフォンでも閲覧しやすいように余白・メニュー折りたたみ・アイコン配置などの配慮があります。
5. サイトのターゲット
- 猫好き・保護猫関心層:保護猫や猫カフェに興味を持つ人。
- 里親希望者・動物を家族に迎えたい人:実際に保護猫を迎えたいという意思のある人。
- 支援者・寄付希望者:財政的・物資的支援を検討している人。
- イベント参加者/ボランティア希望者:ネコ市ネコ座などの猫助けイベントや保護猫活動に関わりたい人。
- グッズ購入を通じて支援したい人:猫関連グッズを購入することで活動を支えたい人。
- 動物福祉・社会活動に関心を持つ層:社会課題としての動物保護に関心を持つ人々。
まとめ
ネコリパブリックのウェブサイトは、保護猫活動の普及・支援促進を目的としながらも、さまざまな方向から取り組んでいる、その独特な活動を詳細に伝えています。
保護活動に賛同する気持ちはあっても事情が許さない人には、「グッズ購入」や「猫カフェ利用」などライトな行動から、猫と暮らす意欲のある人には、「猫を家族に迎えるならペットショップでなく保護猫から」「猫とともに豊かに生きるライフスタイル提案」を、と言った感じで、人それぞれ出来る範囲での参加行動を具体的に示しています。
また、その活動を「自走可能な」事業化している(ただし営利目的ではない)ところが大切な点です。どんなに理念が立派であっても、現実性に乏しい活動は長続きせず、結局は形にならずに終わってしまうでしょう。その点、ネコリパブリックの活動は、きちんとしたロードマップを描いて、多方向から支え合う形で行なっているのが素晴らしいと感じます。
単純な寄付も受け付けてはいますが、猫カフェ利用者も猫と生きる生活を選ぶ人にもきちんと「心の豊かさ」というベネフィットを提供しているところが、奉仕活動と違う点です。
可愛い猫のビジュアルに目を楽ませて閲覧できるサイトですが、その中身は実は深い洞察力に基づく現実的な働きかけが見えてきます。
こういった取り組みこそが、強い想いを実現する手段なのだと、このサイトを通じて静かに証明しているような気がしました。
