魅せるビジュアルが誘う『夢』のような熱帯世界
夢の島熱帯植物館
1 夢の島熱帯植物館ウェブサイトの概要
夢の島熱帯植物館は、東京都江東区・夢の島公園内に1988年に開館した、大型の熱帯植物温室です。
かつて東京のゴミ埋め立て地であった夢の島に建てられており、隣接するごみ焼却場の余熱を利用して温室を維持している点が特徴です。これにより、エネルギーの有効活用を図るとともに、ごみ問題や環境について学ぶ場としての役割も担っています。
館内には、A、B、Cの3つのガラスドームがあり、約1,000種類の熱帯・亜熱帯植物が育てられています。滝や水辺のジャングル、熱帯の果実や「熱帯の家」、小笠原諸島の固有種や食虫植物などの展示があり、自然の多様性を体感できる施設です。
夢の島熱帯植物館の公式ウェブサイトは、施設の見どころやイベントなど、訪れる人々に向けた多角的な情報を提供する、総合案内サイトです。来館前の情報収集から、植物館の魅力再発見、環境学習まで、幅広い目的に利用できる充実した内容となっています。
2 サイトのターゲット
様々な施設が集まる夢の島にある公共施設であることから、幅広い層の利用者が考えられます。
- 一般来場者:施設の魅力を知り訪問を検討する方。障がい者や高齢者にも配慮が見られ、バリアフリー情報が充実しています。
- 住民やリピーター:イベントや開花情報を定期的に追いたい方
- 外国人観光客や在日外国人:多言語対応があり、日本語が分からないユーザーにも配慮が見られます。
- 教育関係者や団体:環境学習に適していることから、団体予約や学校の学習利用などを検討する方。
3 トップページの印象
夢の島熱帯植物館ウェブサイトのトップページには、目を引くビジュアルとキャッチコピーがあり、「熱帯の植物ってこんなに美しい」という言葉とともに、まるでドームの空気を感じさせるような設計です。
丸い画像スライド演出
丸い枠内のフェード切り替えからは「夢の中」のような、フワフワした空気感を感じました。視覚に訴えるファーストビューの印象的なビジュアルによって、訪問意欲が自然に引き出されてきます。
キャッチコピー
「熱帯の植物ってこんなに美しい」というキャッチコピーは、大きなフォントサイズで縦書きで表示され、大変印象的です。このキャッチがあることで、メインビジュアルや、その先に続くサイト内画像の植物の美しさに注目が集まる巧みさを感じます。
ナビゲーション
トップページのファーストビューでは、上部のグローバルナビゲーションは隠され、ナビゲーションが右側に表示されています。
左側にキャッチコピー、右側にナビゲーションを置くことで、メインビジュアルが中央に落ち着きます。ナビゲーションがデザインの一部となってバランスを取っているのが印象的です。
奥へ奥へと誘導する仕掛け
スクロールに従ってサイドからは葉や花のビジュアルが次々に現れ、訪問者を迎えてくれます。この表現によって、まるで自分が植物園の奥に進んでいくかのように感じる効果が出ています。
この演出は、PC画面でも魅力を感じますが、スマートフォンで見る方がグッと迫ってくるような迫力さえあり、より臨場感を感じます。
4 特徴
夢の島熱帯植物館ウェブサイトは、訪問者への情報提供を、使いやすい設計と目を惹くビジュアルで発信しています。
特に、南国の植物のカラフルなビジュアルは、画面に鮮やかな彩りを与えています。季節の植物を紹介するページでも、色とりどりの画像が使われ、実物を見てみたいと言う欲求を促しています。
イラストも多く、ウキウキと楽しくなるようなサイトデザインを作り上げています。
基本情報はもちろん、現場の魅力をリアルタイムで伝えるコンテンツや発信ツールへの連動など豊富な手段での発信が特徴的です。
サイトの色彩
背景:白
メインカラー:黄色がかった深い緑。熱帯で太陽をいっぱいに浴びて育った葉の色を思わせます。
サブカラー:淡い緑系。
施設案内
サイトの重要な役割として、営業時間、入館料、アクセス方法、館内マップ、バリアフリー情報など、来館に役立つ基本的な情報がしっかりと網羅されています。
見どころ・見ごろの紹介
3つのガラスドーム(A・B・Cドーム)で展示されている熱帯植物の種類、見ごろの花や果実の情報が紹介されており、訪問前に見たい植物をチェックできます。
環境への配慮
夢の島熱帯植物館ウェブサイトでは、隣接するごみ焼却場の余熱を温室の暖房に利用していることや、太陽光パネル設置工事に関するお知らせなど、環境への取り組みについても発信しています。
イベント告知
「ゆめねつ夜間開館」など、ユニークなイベントの案内も詳細に掲載されており、訪問を促しています。
ネットで楽しむ
YouTubeの「ゆめねつチャンネル」では多くの番組によって、見どころの紹介などを伝えています。「ネットで楽しむ」というページにあり、また「楽しい動画や癒しのコンテンツをお送りします」という紹介文からも、単に来館の促しが目的ではなく、このチャンネル自体を楽しんで欲しいという想いが伝わります。
体験型アプリ
音声ガイドアプリ、ARガイドアプリにより、現地での体験を深める工夫も紹介されています。
5 ユーザーインターフェース
夢の島熱帯植物館ウェブサイトは、様々な訪問者に対応する優れたインターフェースで利便を図っています。
ナビゲーション
グローバルナビゲーションが整理されており、目的別にスムーズにアクセスできる構造です。
多言語対応
日本語以外に英語、ドイツ語、仏語、スペイン語、韓国語、中国語(簡体・繁体)が用意され、在日外国人や他国からの訪問者にも配慮されています。
SNS連携
Facebook、Instagram、Twitter(X)、LINE、YouTubeなどのアイコンがトップやフッターに配置されており、外部からの発信やフォロー獲得に積極的な様子が見られます。
レスポンシブ対応
スマートフォンでの閲覧にも対応しています。むしろスマートフォン環境の方が演出が生きるデザインも感じました。SNSなどにもモバイルユーザーを意識した導線が見られます。
まとめ
夢の島熱帯植物館の公式ウェブサイトは、トップページに見られるように、ビジュアルを効果的に「魅せる」演出表現が素晴らしいと感じました。「熱帯の植物ってこんなに美しい」事が、サイトからも、十分伝わる構成です。そうした視覚的な魅力を、公共施設らしい信頼感ある情報が支えています。
温室の美しさだけでなく、生物多様性や環境再生のストーリーも含めることで、「熱帯の美」「癒しの空間」「学びと発見」などが、複合的に存在する施設だというイメージがはっきりと伝わってきます。
また、ファンを作るような工夫も数多く見られ、SNS連携や「ネットで楽しむ」の導線から、季節情報やイベント、花の見頃などを発信し、来館前後のエンゲージメントを強化しています。
加えて、多くの言語対応、多様な体験コンテンツへの導線などがバランスよく融合し、実際に施設を「訪問したい」「体験したい」と思わせる、設計の秀逸さを感じます。
公的な施設としての信頼性や様々な層に対応する配慮と、民間委託の運営による人を惹きつける効果的な工夫によって、大変完成された魅力あるサイトだと感じました。