マグマが宝石を生み、熱い想いが生む漆黒と純白の世界
貴瞬(KISHUN)ウェブサイト
1 貴瞬Webサイトの概要
貴瞬(KISHUN)は、「180度変わるような体験を。」という強いブランドメッセージとともに、中古宝石の買取から鑑定、研磨・リカット、デザイン、そして販売までを自社で一貫して行う『リフレーミングカンパニー』です。無価値とされてきた色石に新たな価値を与える、独創的な事業モデルを掲げています。
その貴瞬のウェブサイトは言葉がマグマのような熱さを持ち、強烈なインパクトでたたみかける、迫力あるサイトとなっています。
2 ターゲット
貴瞬のウェブサイトは、次のような層に向けた作りになっています。
ジュエリー業界関係者:サステナブルな素材調達やリメイクに興味のある方
再生宝石やアップサイクルジュエリーに関心がある一般消費者:特別な思いを込めてジュエリーを選ぶ層
採用候補者:新たな価値創造に共感し、自ら挑戦したい人
3 トップページの印象
貴瞬ウェブサイトトップページは、黒い背景の中央で宝石が(おそらく)エメラルド、サファイア、ルビーと変化しながら輝く、ため息が出るような映像から始まります。
添えられるキャッチは「180度変わるような体験を。」、白文字で表現されています。映像の後ろにも「180° CHANGE」の文字が明るさを変えながら存在しています。
インパクトある一面に広がる「漆黒」は輝く宝石や文字をよりきらめかせ、白や光る色は黒をより際立たせています。
スクロールで続くページも引き続き黒く、そこに白い文字が大きなフォントで現れます。
一つ一つの文言が、強烈な個性を持って存在している感じがします。
私はこんなに「熱い」言葉を聞いたことがないかもしれません。マグマの熱に匹敵するものは、地球上にそうそうないでしょう。
広いスペースをブランドメッセージの宣言に割いて、突然黒から純白の世界に変わります。
事業内容を表す図は、カットされた宝石を思わせる形で表現されています。オリジナリティとクオリティの高いイメージ図です。
その後も黒、白、黒、と背景を変え、全てが大変な圧力を持って迫ってきます。
4 特徴
貴瞬のウェブサイトは、端から端まで、力強さと事業にかける熱に溢れています。
1 色彩 – 黒と白のコントラスト
背景は一貫して、黒と白の繰り返しです。これだけ広い範囲に「漆黒(16進数カラーコード:#000000)」を使うサイトも珍しいのではないでしょうか。
ウェブサイトでは視認性が重要な文字でさえ、目が疲れるという理由で真の黒を避ける傾向にあるにも関わらず、です。ちなみに、フォント色に関しては#0C0C0Cを使用しており、わずかながらグレーに傾いています。
文字の色にはユーザーに配慮が伺えながらも、敢えて漆黒を使うというのは、「この色でしか表現できない」という思いが強いのでしょう。
その漆黒が、白と交互に繰り返されるので、更にインパクトは絶大です。インパクトというより、衝撃を受けると言う方がいいかもしれません。
正直な感想を言うと‥‥、かなり疲れます。私はこのサイトの分析で画面を見つめているのに苦痛を感じ、頭痛を覚えました。
ただ、インパクトを与える、衝撃を与える、それこそがこのサイトが目指すものなのでしょう。『180度変わるような体験』とは、それを受け止める覚悟が必要なのだろう、と身をもって感じさせられました。
アクセントカラーは深い赤、ぐつぐつと煮えたぎったマグマの色でしょうか。
2 リフレーミングカンパニー
貴瞬ウェブサイトでは、社の基本方針に『リフレーミングカンパニー』と言う名前をつけています。
ユニークな名称をつけるのは、企業の独自性を示し、印象付けて周知するのに良い手段です。
また、言葉で語るのみでなく、図やグラフといった形にしているので、具体性が感じられます。
先に述べた「黒と白」の色彩からいうと、黒の背景で言葉=想いを語り、白の背景で図=具体性を示す、といった形です。
3 信頼性の演出
「企業理念」「スペシャリスト対談」「持続可能性への取り組み」など、内から外から、信頼性、社会貢献性を示しており、言葉と人と実績によってブランドの厚みを支えています。
4 ロゴマーク
貴瞬のロゴマークは、社名のアルファベット先頭2文字「KI」を横に倒した形です。また、全体でブリリアントカットのように形を整えられた宝石が、赤いプレートに乗っているようなイメージを形作っています。
シンプルで均整が取れており、社名と事業内容両方を表現した素晴らしいロゴマークだと思います。
5 ユーザーインターフェース
貴瞬ウェブサイトは、ナビゲーションメニューが細分化され、導線が短く便利です。一方、メニュー数が多く、更に文字数が多いことが影響し、閲覧環境によってはメニューが見づらくなってしまいます。
モバイル表示にも対応したデザインとなっており、ハンバーガーメニューを使用したこちらは、メニュー名の表示に問題を感じません。
日本語に加えて英語、中国語版が用意され、国際ビジネスへの積極性が伺えます。
ページ最下部にInstagram、X、Facebook、TikTokのアイコンが配置され、SNSとの連携も取られています。
ユーザー対応について、サイトデザインからの問題点は、先に述べた「インパクト疲れ」など、訪問閲覧者の身体への影響でしょうか。黒と白の繰り返しはある意味光の明滅ですので、私のようにじっくりと見続けたり、検分するようにスクロールを繰り返したりすれば、頭痛などを引き起こしても不思議はありません。このような閲覧はイレギュラーではあるでしょうが、改めて、黒#000000の使用には配慮が必要だと痛感しました。
まとめ
貴瞬の公式サイトには、マグマから生まれる宝石のように、熱い情熱から生まれた理念で全体が構成されているような、重みと熱を感じます。
黒と赤とで表現されたマグマから、企業理念を表す文字やビジュアルが生まれ出たかのようです。その理念を文字だけでなく、グラフ化されたビジュアルで示すことで具体性が感じられる設計です。
『無価値という言葉を世界からなくす』と言う強い主張。それを漆黒と純白のサイトデザインで表現し、大きなインパクトを与えています。
時にその熱すぎる情熱は周りを焼いてしまうかもしれませんが、それでも伝えなければならないほどの強い想いなのでしょう。『180度変わるような体験』はそれほど周囲に影響を及ぼす強さを持っているとも言えます。
宝石が正しく評価されるように導く「熱い」この企業の在り方もまた、宝石のような価値を持つものかもしれません。