モノトーンからカラーへ、ブランドの本質を伝える落ち着つく きらめき
matériel(マテリエル)webサイトの概要
matériel(マテリエル)は、国際的な賞を数多く受賞しているシェフ・林 正明氏のパティスリーショップです。
matérielの公式サイトは、菓子やケーキなどのお菓子を中心とした商品紹介とともに、ブランドの世界観や、店舗・オンラインストアの案内が丁寧に紹介されています。落ち着いたトーンのサイトデザインと言葉づかいで、菓子づくりへの真摯な姿勢が感じられます。
ターゲット
主に首都圏の上質な素材と丁寧な仕事に価値を感じる大人の層、特に30代以降の女性を中心とした層が主なターゲットとなるでしょう。
また、焼菓子やオンライン販売などによりギフトや手土産、贈り物としての購買者の需要にも合っています。
1 トップページの印象
matérielウェブサイトのトップページ のコンテンツは、冒頭のビジュアルと、店主の想いが綴られている『私の考えるパティスリー』のみの、コンパクトな構成です。
1 モノトーンからカラーへ
ファーストビューは、全面に表示される店舗外観のビジュアルです。
初めはモノトーンであった画像はゆっくりと色づき、セピアからカラーへと移り変わっていきます。長い時間をかけての変化なので、気づかずに他のページへ移ってしまう人も多いかもしれません。
モノクロからカラーに変化することで、薄暗くなった街に店の照明が輝やいてきらめきだすように感じてきます。ゆっくりした変化の間にほっと息をつき眺めていると、店が「ようこそ、お待ちしていました」と迎え入れてくれるようなあたたかい気持ちになります。
2 店内へ誘うイントロダクション
店の佇まいと、店のコンセプトを伝え準備が整ったところで、「さあどうぞ」と商品が並ぶ店内に迎え入れる、そんなイントロダクションページとなっています。
2 サイト全体の特徴
matérielウェブサイトは、特に凝った演出を加えることなく、ビジュアルの美しさと品のある佇まいに短い文章が添えられて構成されています。
1 色の構成
背景はボルドーカラーで統一。落ち着いた深みのある色は、上質さや品を感じさせてくれるとともに、商品が映える効果も生んでいます。
濃い背景上の文字は淡いグレイで、白文字よりも背景に馴染み、穏やかで上品なイメージを与えてくれます。
2 GALLERY ー 作品のように並ぶスイーツ
商品画像は、照明にも配置にも隙のない完成されたものです。商品の紹介ページは『GALLERY』となっているのですが、本当にその名の通り、画廊に並ぶ「作品」のようです。
3 情報 ー 基本情報に絞ったWebサイト
全てのページを通して情報量を押さえているので、伝える情報に焦点があって分かりやすい構成です。
ただ、例えば私が訪問する立場だったら知りたい情報、「新商品」「営業時間の変更や臨時休業はないか」‥といったことにこのサイトは答えてはくれません。
その時どきの発信はInstagramからとなっているようで、このサイトはあくまでも、基本情報と「店のコンセプト」を表明する場となっています。昨今はウェブページを持たず、Instagramの発信のみの店舗も多く見られますので、残念ながら時流に乗った対応なのかもしれません。(Webサイト作成を学ぶ身としては大変困ったことですが‥)
とはいえ私は、長期休業(Instagramによれば8月12日から9月4日までを予定)の情報すらWebサイトでの告知がないことを、大変残念に思います。
4 ナビゲーションメニュー
- ACCUEIL トップ
- CHEF シェフ
- GALLERY ギャラリー
- BOUTIQUE EN LIGNE オンラインストア ※
- ACCES アクセス
基本的にはフランス語(GALLERYだけは英語でしょうか)が併記されており、ブランドの洗練された世界観と親和性があります。
※オンラインストアは現在休止中の様子。Instagramには近々店舗がリニューアル工事に入るとの告知があるので、その影響かもしれません。
5 ユーザーインターフェース
ミニマムなサイトなので、ナビゲーションも非常にシンプルで、迷いなく目的のページにたどり着ける構造です。
Instagramとの連携があり、店舗基本情報以外は全てこちらからの発信となっているようです。逆に、Instagramありきの情報発信体制なので、ユーザー対応に関してこのサイト単体で評価すると、残念ながら不十分なものになっていると感じます。
まとめ
matériel(マテリエル)の公式ウェブサイトは、落ち着いた上品な佇まいで、店とシェフの姿勢とコンセプトを静かに伝えています。
ビジュアルは美しく、シェフの理念通り、生み出された商品の丁寧さや上質さ=「カタチ」を視覚からだけでも伝えてくれます。丁寧な仕事による美しい作品が、味も満足のいくものであることが確信できる説得力を持っています。
情報は絞られ、サイト内で迷うことはありません。派手な演出はありませんが、そのことによって真剣で真面目な店とシェフの気持ち伝わるようでもあります。
一方、ファーストビューのアニメーション効果によるビジュアル変化には、さりげないオシャレさを感じました。長い時間をかけての変化を見守っていると、肩から力が抜け落ち着く感じで、ここを訪れる他のみなさんも素通りせずに、ぜひ体験して欲しい感覚です。
時節の情報などはInstagramに限定されている状況であり、その点は残念に感じているのが本心ですが、このサイト自体も「ウェブサイトならでは」の立ち位置で、「matériel」というブランドの本質を伝える場として素敵な存在感を持っていました。