夢物語のような現実ー宇宙港・宇宙の集落
北海道スペースポート
1. 北海道スペースポートwebサイトの概要
北海道スペースポート(HOSPO)は北海道大樹町が主導し地元企業も出資し誕生したSPACE COTAN株式会社が進める、ロケット打ち上げの商業宇宙港(Space Port)です。
北海道スペースポートの公式ウェブサイトは、大樹町が提起した「北海道スペースポート構想」を元に、発足した企業としてのビジョンと地域活性化への期待が交差するユニークな情報発信の場です。世界を相手にする宇宙産業らしく、サイト全体にインターナショナルな雰囲気が漂っています。
壮大な宇宙に挑む情熱がサイト全体からひしひしと伝わり、大変力強さを感じます。
2. ターゲット
北海道スペースポートウェブサイトが主なターゲットとするのは、宇宙ビジネスや宇宙での研究に関心を持つ国内外の企業、投資家、研究者、そして地元地域の支援者でしょう。
次に、このプロジェクトのための企業、「SPACE COTAN株式会社」への就職を考える層。
また、宇宙やロケットへの関心や好奇心をもって訪れる一般のユーザーへも対応が見られます。専門的な用語が並ぶ一方で、やさしい言葉遣いにビジュアルの補助があるコンテンツも揃えることで、幅広い層が閲覧できるバランスが保たれています。
3. トップページの印象
ファーストビュー ー 世界への挑戦
北海道スペースポートウェブサイトトップページのファーストビューは、ロケットが飛び立つ映像を背景に「Grobal Commercial Spaceport in Asia HokkaidoSpace Port」のタイポグラフィが大きく表示されています。ナビゲーションメニューも含め、アルファベットしか表示されない*ファーストビューには、世界に挑む覚悟が感じられます。(*最下部のNEWS記事を除き)
さらに「contact us」のボタン表示が目立つ位置にあることは、余計な手間を取らせないビジネスの即時対応の姿勢をよく現しています。
十勝の大地から飛び立つロケット ー HOSPO構想がめざすもの
SCROLLアイコンに促されてスクロールすると、ファーストビューの映像はパララックスの背景として残り、その上を文字コンテンツがスクロール移動する仕掛けです。
その動画映像で表示されるのは、飛び立つロケット、滑走路、組み立ての現場、空から眺める十勝の大地、宇宙港施設、そしてロケット発射に期待を込めて見守る人々‥、HOSPO構想がめざし進めるものが全て詰まった象徴的なものとなっています。
構造としてはパララックスの「背景」ではありますが、間違いなくトップページの主役と言えるでしょう。
「動」に対する「静」の表現 ー タイポグラフィ
その他要素に関しては、動くアイコンや下から順に現れる見出しなどの細かいアクションはありつつも、基本は「文字で見せる」ことを重視しています。
文字デザインは見出しと本文テキストとのジャンプ率を大きく取ったダイナミックさがあり、ブロックを重ねるようなコンテンツの配置など、どこかリーフレットやプレゼンテーションツールを思わせる構成です。
背景はやや緑を帯びた白地にアクセントカラーは青みがった緑、それに文字の黒〜グレーを合わせたほぼ3色でスマートにデザインされています。
背景ビジュアルの「動」と前面文字コンテンツの「静」との対比が、うまくバランスを取ってお互いを引き立てている印象です。
4. ウェブサイトの特徴
今”ここ”にある「宇宙開発」
北海道スペースポートウェブサイトの大きな特徴は、「宇宙開発」というどこか遠くの、あるいは未来のことと感じがちなことを、日本の北の地、決して大都市とは言えない大樹町という地で、今現在着実に育っている産業だと認識させる構成です。
実績から更なる成長へ
既に実行したミッションの実績を示し、単なる夢ではない現実的な目標を提示し、大小問わず多くの企業の賛同を得ていることを表示しています。安心材料を提供することにより、更なる受注、施設の拡張、賛同企業や就職希望者の増加が見込め、ミッション全体の成長へとつながることでしょう。
宇宙版シリコンバレー・宇宙の集落
VISIONとして示している目標「北海道に、宇宙版シリコンバレーをつくる。」や、「スペースポートのまちづくり。『宇宙の集落』」など、ただ聞いただけでは実現不可能な夢物語にしか思えないようなことが、着実に現実化が進んでいるのだと実感させてくれる説得力があります。
地元への還元
地元への還元として、地域発展への夢や希望が持てるビジョンを示しています。また、ふるさと納税や宇宙電気など、直接的な地元還元もみられます。
幅広い層への理解促進 ー 北海道スペースポートの強み
事業内容理解の促進にも積極的で、「北海道スペースポートの強み」をアイコンイラストに簡潔な文章で、知識のない人にも分かるよう説明しています。また、大樹町宇宙交流センターSORA:大樹町の宇宙のまちづくりについて学ぶことのできる展示施設の紹介や、見学ツアーの案内もあります。
5. ユーザーインターフェース
北海道スペースポートウェブサイトのインターフェースはシンプルで、操作感のいい設計です。
グローバルナビゲーション
グローバルナビゲーションは上部固定で、ホバーで下層項目が表示されるため、目的への導線短く設計されています。特にビジネスなど目的のはっきりした訪問者には、トップページの初見から「contact」へ導線を設ける配慮があります。
文字表示
全体的に文字は見やすい配色で大きく表示されていて、文章も要点が整理されており読みやすいです。
多言語対応
宇宙産業ですので当然ながら英語表示があり、地元住民向けの一部コンテンツ以外は全て英語ページが用意されています。
レスポンシブ対応
レスポンシブ対応もきちんととられ、スマートフォンでも最適化された表示です。動画を使用しているとは思えないほど軽く、操作感よく閲覧できます。
SNS等との連携
外部媒体ではYoutube、X、Facebook、noteへのリンクがみられ、多方向からの広報活動に積極的に取り組んでいる様子が伺えます。
まとめ
北海道スペースポートの公式ウェブサイトは、多くの情報をシンプルなデザインと簡潔な文章でまとめ、そして象徴的な動画で表現しています。
現在稼働中・即時対応のビジネス性とこれからの未来について地元への周知広報の両面を持っていますが、お互いの情報がお互いを強化し説得力を持つ、良いバランスで設計されているように感じました。
英語ページの作成はもちろんのこと、スマートフォンの閲覧にも快適な軽い設計は、通信環境もさまざまな世界を相手にする企業サイトとして優れていると感じました。
このサイトで特に印象的なのが、トップページの動画ビジュアルです。これからの目標と地道な現場仕事と地元に与える希望と‥、ここに全てを詰め込んだ象徴的なものだと感じました。
宇宙という壮大なテーマを現実に落とし込んだ、大樹町を始めとするこのプロジェクトのメンバーには尊敬の念を抱きます。このような夢ある地に暮らす地元の人々には羨ましさを感じるくらいです。
宇宙に夢を感じる一人として、私もこのサイトを通じてこの事業が順調に進んでいく姿をこの先も見守りたいと思います。